TOPインタビュー

心を込めて、
お客さまをお迎えする。

株式会社モスフードサービス
代表取締役会長櫻田 厚

1978年3月のとある金曜日。約40年たったいまも、その日は忘れられません。私が店長を務める成増店の目の前に、同業の大手チェーンがやってきた日です。心配そうなキャストさんたちに、私は「大丈夫」と伝えました。「私たちはやるべきことをやって、地域の方々に愛され、続いてきました。だからいまさら特別なことをする気はありません」と。ただ、こう付け加えました。ご近所の清掃、メニューの提供、そして笑顔のあいさつ…忙しさのなかでおざなりになっていないか、振り返ろう。心を込めよう。見直すべきことを見直したら、あとはいつも通り、お客さまをお迎えすればいい――。
そして朝7時にオープン。いつもは月曜日や水曜日に来る常連さんたちの顔がそこにありました。皆さん心配して、この日に足を運んでくれたのです。12席のベンチシートしかない成増店は外までお客さまであふれ、終わってみれば、平日の売上で新記録を達成。「モスがなくなっては困る」「自分たちが守る」――そんな常連さんたちの想いに、成増店は支えられていたのです。

地域の方々にとってなくてはならない店舗になる。それがモスの原点です。モスには店舗づくりのためのさまざまな仕組みがあり、投資も常に行っていますが、それらはすべて原点を守るためにあります。たとえば、HDC審査。ホスピタリティ(H)、デリシャス(D)、クレンリネス(C)の3指標について、毎年全国20支部ごとに各2~5店舗を選出し、表彰しています。また、専門会社による覆面調査も実施し、支部ごとの平均点数も公表しています。よい店舗はどんな取り組みをしているのか、全員が共有し、井の中の蛙にならず刺激し合える環境です。そして、それぞれの地域のために何ができるかを考えます。一人ひとりが常にいままでを振り返り、何度でも心を込めて、お客さまをお迎えする。それがモスですから。

心を一つにして、
「101%」を達成し続ける。

株式会社モスフードサービス
代表取締役社長中村 栄輔

モスグループは、中期経営戦略において「世界で認められる日本のおいしさとおもてなしを確立する」を全社ミッションに掲げています。そして、具体的な成長戦略の一つとして、国内モスバーガー事業は「既存店売上(前年比)101%を達成し続ける」という目標を打ち出しました。
なぜ110%でも120%でもなく「101%」なのか。一気に拡大を目指す戦略は、必ずどこかにしわ寄せが来ます。特にフードビジネスの場合、それは店舗で頑張る人たちを追いつめ、結果的にお客さまが離れていってしまいます。そんなことは、あってはならない。ですから私たちは、少しでもいいから着実に成長する道を選びました。
しかし、「101%」を「達成し続ける」ことは決して簡単ではありません。全社が「おいしい商品をつくってお客さまに提供しよう」と心を一つにしなければ、達成などできません。たとえば、モスバーガーには地域密着キャンペーンがあります。地元のご当地メニューやおいしい素材を地域の店舗スタッフに提案してもらい、商品化する。そして店舗スタッフ・本部スタッフが一丸となってお客さまにご提供する。数字は、その次に来る結果なのです。

九州地区の営業担当部長を務めていた頃のこと。私は加盟店の皆さんの意見をもとに、“チキン南蛮バーガー”、“霧島黒豚メンチカツバーガー”など、地域限定メニューの導入を実現させました。いまより10年以上前の話ですから、チェーン店は全国で統一メニューを販売するもの、という考え方が主流でした。しかし私は、地元のために頑張る加盟店の皆さんを応援したいと、スーパーバイザーはもとより、商品開発担当、仕入れ担当、そして当時の経営陣に掛け合い、実現に結び付けました。これは、全社が心を一つにしたからこそ成功したキャンペーンです。数字ではなく、店舗スタッフと商品開発が、そして加盟店と本部が、まず心でつながる。これがいまもなおモスの強みであり、「101%を達成し続ける」という目標の出発点です。私たちはこの出発点に何度でも立ち返りながら、中期経営戦略を実現させていきます。